留学中も、親の健康保険の扶養は続けられる。海外でかかった医療費が一部戻る仕組み
子どもが海外の大学に進むとき、親の会社の健康保険の扶養から外れてしまうのでは、と心配になる方は多いと思います。2020年4月から、扶養に入るには「日本に住んでいること」が条件になったからです。
ただ、これには例外があります。「外国で留学をする学生」です。住民票を抜いて海外に住んでいても、届け出れば扶養のまま残れます。そして扶養のままなら、保険料は1円もかかりません。払わずに残せるものなので、条件に合うなら残しておく価値があります。
対象になるのは、親が「会社の健康保険」に入っている場合
扶養という仕組みがあるのは、会社員や公務員が入る健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)です。親が自営業などで国民健康保険に入っている場合は、そもそも扶養という考え方がありません。国保は家族一人ひとりが加入者なので、子どもが住民票を抜けば、子どもの分は脱退になります。
手続きは親の勤務先を通じて
扶養に残るには、親の勤務先を通じて健康保険に届け出ます。添付するのは、ビザ(就学許可)、学生証、在学証明書などのコピーです。外国語の書類には、翻訳した人の署名が入った日本語訳をつけます。毎年あらためて確認を求める保険者もあるので、在学証明書は毎年取っておくと安心です。
なお、離れて暮らす子どもが扶養に入るには、子ども本人の年収が130万円未満で、親からの仕送りより少ないことが条件です。現地でアルバイトをして、収入が仕送りを超えると外れることがあります。
語学留学やワーキングホリデーの場合は、保険者の判断になります。国の資料ではワーキングホリデーも「一時的に海外へ行く人」の例に挙げられていますが、現地での収入が基準を超えると扶養から外れます。親の勤務先の健康保険に、事前に確認してください。
海外でかかった医療費は、一部が戻る
扶養に残っていると使えるのが「海外療養費」という制度です。
- 海外の病院で治療を受け、いったん全額を自分で払う
- 現地の医師に、決まった様式の診療内容明細書と領収明細書を書いてもらう
- 翻訳者の署名と連絡先が入った日本語訳と、パスポートの出入国ページのコピーをつけて、支給申請書と調査同意書を健康保険に出す(親が日本で申請できる)
戻ってくるのは、「同じ治療を日本で受けたらいくらだったか」で計算した額から、自己負担分を引いた額です。海外の医療費は日本より高いことが多いので、払った額がそのまま戻るわけではありません。申請の期限は、支払った翌日から2年です。現地の病院で明細書を頼むのを忘れがちなので、出発前に様式を印刷して持たせておくのがおすすめです。
「扶養があれば現地の保険はいらない」ではない
ここは誤解しやすいところです。たとえばカナダのBC州では、6か月以上の就学許可で滞在する留学生は州の医療保険(MSP)に加入するのが原則で、日本の扶養に入っていることは、加入しない理由にはなりません。現地の保険が主、日本の扶養は「現地でカバーされない部分の一部が戻る」「一時帰国したときに日本の保険で受診できる」という二段目の備えです。
期間別の考え方
| 期間 | 扶養 |
|---|---|
| 1年前後(語学留学・ワーホリ) | 保険者の判断。続けられるなら残す。現地の収入に注意 |
| 2〜4年(海外の大学など) | 残す。保険料はかからない。在学証明を毎年用意 |
| 就職・移住 | 学生でなくなれば外れる。現地の保険へ |
払わずに残せて、いざというときに一部が戻る。扶養は、このシリーズの中でもいちばん「残す」と言い切りやすい項目です。
ここに書いたのは一般的な仕組みです。実際の扱いや書類は、親が加入している健康保険(勤務先)で確認してください。同じように子どもの留学を考えているご家庭のご相談に、今はDoor to Worldで乗っています。
出典:日本年金機構「被扶養者の国内居住要件」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/kyojuyoken.html / 協会けんぽ「海外療養費」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/overseas_medical_expenses/index.html / 日本年金機構「海外特例要件の手続き」 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/kyojuyoken.files/kaigaitokurei.tetsuduki.pdf / 横浜市「国民健康保険に扶養はありますか」 https://www.city.yokohama.lg.jp/faq/kukyoku/kenko/hoken-nenkin/20211025153024853.html / 厚生労働省 医療保険部会資料 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000517326.pdf / BC州「Health fee for international students」 https://www2.gov.bc.ca/gov/content/health/accessing-health-care/health-fee-international-students
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