「役不足です」と謙遜したら、逆の意味になっていた話
先日、地域の集まりで代表をお願いされたときのこと。私は反射的にこう言っていた。
「いやいや、私なんて役不足ですから…」
謙遜のつもりだった。「そんな大役、私には荷が重すぎます」というニュアンスで使ったつもりだった。
それを聞いていた息子(カナダ・UBCに留学中)が、画面の向こうで固まった。
「え、それ真逆の意味だよ」
「え?」
「役不足って、『この役目は、その人の実力に対して軽すぎる』って意味だから。お母さんの今の使い方だと、『この程度の役目、私には物足りません』って言ってることになる」
一瞬、何を言われているのか分からなかった。
「役不足」の本当の意味
正しくは、こういう意味になる。
- 役不足(やくぶそく):その人の力量に対して、与えられた役目が軽すぎること。実力を発揮しきれていない、という意味の褒め言葉
- 力不足(ちからぶそく):その人の力量が、役目に対して足りないこと。こちらが「謙遜」で使いたかった意味に近い
つまり私が本当に言いたかったのは「力不足」で、口から出たのは正反対の「役不足」だった。謙遜したつもりが、「こんな軽い役目、私にはもったいない」と言っていたことになる。冷静に考えると、かなり感じの悪い人になっていた。
なぜ間違えやすいのか
「不足」という字面につられて、「自分が何かに足りていない」という意味だと思い込みやすい。でも「役不足」の主語は自分の力量ではなく、役目の方。役目が(自分の力量に対して)不足している、という構造になっている。
離れて暮らすからこそ気づくこと
自分がこの歳になって息子に日本語を直されるとは思わなかったけれど、離れて暮らす息子とのこういうやり取りが、今のところ一番の親孝行(息子孝行?)かもしれない。
息子の留学が始まってから、こういう小さな「知らなかった」の連続だった。同じように子どもの留学を考えているご家庭の相談に、今はDoor to Worldで乗っている。